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2話からミュウが登場だったので、ミュウのアニメ登場お祝い小話をあげてみます。
どれだけ時期遅れなんでしょう; うっかり感想だけ書いてこの文章だけお蔵入りしてました;; EDのあのイラストも滅茶苦茶可愛いですけどね! あのふわふわ飛んでセーブポイントに入るミュウがたまりませんです!! 誰ですかあんな可愛いコンテ切ったのは!!!(興奮) 実はOPのアニスにぴょーんと抱きつかれてくるくるーなルークも可愛くてたまらないのですが。 ルクアニで萌えろということですか。 いえもう、アニス可愛くて胸がぎゅーっとなりますv でも本編では当分アニスがあれな感じでしょうから、可愛いアニスの出番に期待するのはもっと後半・・・でしょうか。それまではOPに毎週ドキドキされられていますよ、もう! *** 「ん?」 吹き抜ける風に乗せられた甘い香りに気がついて、ルークはふと立ち止まった。 きょろきょろと辺りを見回すものの、周囲に甘い菓子を売るような店は見当たらない。 不思議に思って首を傾げると、同じように匂いに気が付いたのか、肩に乗っていたミュウがひょこりと身を乗り出して小さな鼻を震わせた。 「みゅ、おいしそうな匂いですのーっ」 確かにミュウの言うとおり、それはとても甘そうで熟したフルーツのような匂いだ。 けれど思い浮かべるどんな果物にも一致しない初めての香りでもあった。 だから、その正体が気になって、思わず呟く。 「何の匂いなんだろうな?」 「みゅ? きっとこれは、金木犀が咲いてるんですの」 「キンモクセイ??」 「ですの」 当然のように返された名前は、けれどやはりルークにとって馴染みの無い響き――。 ルークが知らないということは、たぶん、あの屋敷の中には無かったものなのだろう。 これだけ強い甘い香りの元が植物であることに、純粋に驚きを覚えた。 「へー。でもこの辺りに花なんて・・・あっ、あれか?」 広い通りの影に隠れるように延びた細い道。 その奥にちらりと見えた緑色を差してミュウに問うと、肯定が返ってくる。 興味を持って近づけば、先ほど僅かに感じていた香りはとたんに濃度を増した。 「そうですの! あれが金木犀の木ですの!」 やたらと主張の激しい香りから、きっと花も余程派手だろうと想像していたのだが、イメージとは違って、見つけたそれは小さなオレンジ色の花をつけた素朴な木。 もう鼻が麻痺してしまったのか、最初に受けた強い印象は薄れたものの辺りには濃厚と言える甘い香りが充満していた。 「みゅ、とっても美味しそうですのー」 「・・・って、食うのかよ!」 言う傍から、ミュウは既に地面に積もった花を口に運んでいる。やたら熱心に探していると思ったら、食欲を刺激されていたらしい。 その姿に肩をがくりと落としながら、ルークはひらりと落ちてきたばかりの花を手のひらに受け止めた。 本当に小さな小さな花だ。 こんな爪の先ほどの花が、大通りまで届くくらいの香りを発していたのだろうか。 「すっげぇ」 こんな植物は、バチカルの屋敷でも見たことはなかった。 花は地味で香りばかりが強烈な木は、屋敷を飾る庭木として相応しくないと思われたのかも知れない。 外へ出てからというもの、知らないことの多かったルークにとって、こんな思いがけない「発見」は楽しみのひとつだった。 何気なく出てきた買い物だったけれど、今日は日記に書くことがひとつ増えたなと思い、口元を緩ませる。 「美味しいですの!」 「ふーん、美味いのか?」 本当に嬉しそうに花を食べるミュウの姿を見ていると、何となく興味を引かれてしまうのは好奇心旺盛な子供ゆえの性か。 先ほど手に受け止めた花をひとつ、ぺろりと舐めてみる。 「・・・不味ぃ」 けれど、舌の先には香りとは裏腹に甘さなど欠片も感じられなかった。 もそもそした花の感触が残るだけで、期待はずれの味に、ルークはそれを飲み込まず吐き出す。 ミュウは相変わらず美味そうに花を食べているが、その良さはチーグルにしか理解できないようだ。がくりと肩を落として溜息をついた。 「うわ、そろそろ帰らねーと。アニスとかが煩いしな」 ここに立ち止まっていたのは大した長さではなかったはずだが、見上げた空はもう日が傾きかけていて、宿を出てからは結構な時間が経っていたらしい。 買出しを頼まれて出かけてきていたことを思い出したルークは、慌てて宿の方角へと踵を返した。 *** 「あーっ、やっと戻ってきた!」 宿の近くまで戻ってくると、真っ先に気が付いたらしい少女が立ち上がり手を振る。 宿先にあるテラスは簡単なカフェになっているらしく、天気の良い今日は宿泊客以外の利用者もぽつぽつと見受けられて、そんな中で彼女達も午後のティータイムを楽しんでいたようだった。 ルークが近づくと、いつの間にか振っていた少女の手はその小さな腰に添えられていて、唇をつんと突き出して拗ねたふりをしてみせている。 「遅いよ、ルークぅ。買い物頼んだのにいつまでかかってるのかな、もー」 「悪ぃ。ちょっと寄り道してたら遅くなっちまった」 「やっぱり寄り道してたんだ!」 「まあ、ルーク! 寄り道をしていたんですの?」 生真面目な幼馴染がきつい眼差しで咎めるような声を発するのに、苦笑いで答えながら、ルークは頼まれていた荷物を駆け寄ったアニスへと手渡した。 袋に包まれたいくつかの小瓶は、彼女が美味しい食事をつくるために使われる調味料だ。 ルークにしてみれば複雑な名前の同じような瓶に入った調味料を、何個も使いこなして味をつけるなんて芸当は到底真似できないことで、アニスの料理の腕前にはいつもながら本当に感心する。 ナタリアの場合は、見たことも無い調味料を冒険心からか適当に混ぜ合わせるので、いつもとんでもないことになるのだ。 「うん、ちゃんと揃ってる。お疲れ様、ルーク」 袋を受け取ったアニスは、中身を確認して注文していた数が揃っていることを知ると、手をずいと突き出してルークを見上げた。 その行動の示すものを読み取り、ルークはポケットから硬貨を取り出してその手に乗せる。 「信用ねーのな。俺だってこれくらいのお使いもう出来るってのに」 「ルークの場合、気をつけてないとお釣りの計算間違ったりするから、アニスちゃんは心配なんですー」 「だから、もうそんなこと無いっつーの!」 流石のルークもこれだけ長い旅をしていれば、買い物の一つや二つ普通に出来るようになっていた。けれど何時まで経ってもアニスは最初の頃の失敗を根に持っているらしく、毎回買い物をしてくるたびに細かく確認をしてくるのだ。 とはいえ、今は信用していないというよりも、アニスにとってはルークをからかうためのネタになっていたのだけれど。 「お疲れ様ルーク。あなたも一緒に少し休んでいかない? 私たちここでお茶をしていたのだけれど・・・」 馴染みのやり取りが一区切りしたタイミングで、ティアが隣の席を進めてくる。 肌寒くなってきたこの季節、外で冷えた体に温かいお茶の立てる湯気はとても魅力的な誘いだった。 促されるままに席に座ると、すでにティアが注文をしてくれていたらしく、目の前に入れたての紅茶が置かれる。 「あれ・・・この匂い・・・」 ふわりと漂ったのは、先ほど自分の足をとめた甘い香りで、ルークは差し出されたカップを見つめて驚きに目を丸くした。 「ああ、それね。ナタリアのお土産だよ」 皿には黄色の花が飾られた小さな角砂糖が乗せられていて、そこから甘い香りがほのかに立ち上っている。 「金木犀の花を砂糖で固めてあるのですって。この季節だけ扱っているのだと雑貨屋で伺いましたの」 木の傍ではものすごい匂いがしていたが、これは売り物として加工されているからか、程よく上品な香りに仕上がっていた。 「可愛いよねぇ。ティアなんか喜んじゃって」 「なっ、わた、私は・・・っ」 顔を真っ赤にして慌てているティアの様子に首をかしげながら、カップを口元へと運ぶ。 (甘い・・・) 口の中に広がった甘みは、最初に自分が想像していた通りのもので。 美味しそうに花を食んでいたミュウを思い出して、ルークはこくりと小さな花を飲み込んだ。 「ご主人様、ご主人様」 「ん、何だよ」 テーブルの上に乗ってティアからお菓子を分け与えられていたミュウが、いつの間にかルークの傍にいて、顔を覗き込んでいる。 何だよと見下ろして答えれば、くるりと大きな瞳を嬉しそうに輝かせ、ミュウはカップの渕に両手を添えた。 「ご主人様、ボクとおそろいですの!」 丁度考えていたのと同じことを告げられて、どきりと鼓動が跳ね上がる。 美味しそうに花を食べるミュウの姿を見て、同じものを自分でも感じてみたいと思っていた。 それを今こうやって、花を浮かべてお茶を飲むことで実現しているのだと、感じていたから。 「う、るせーなっ。お前なんかと一緒にするなっつーの!」 だから、真っ赤な顔でかえした言葉は、たぶんバレバレの照れ隠しだったのだろう。 ミュウは理解していないのか相変わらず嬉しそうに笑い、ちょうどルークの顔が見えていたらしいアニスは、何も言わないもののニヤニヤと含みのある笑みを向けてくる。 ますます気恥ずかしくなって、ルークはかちゃりと音を立ててカップを持ち上げた。 「ふんっ」 それを全部見ないふりをして、ルークは残ったお茶を、一気にぐいっと煽る。 ―――じわりと舌に広がった味は、金木犀の甘い香りだった。 END. *** ミュウは花を見つけるとまずは食べるようなイメージがあります。(草食だし) アニメにミュウ登場おめでとうー!というタイミングで作ったお話でした。 これ書き始めたの、内容でもわかるように金木犀が咲き始めた頃だったりします(笑; あわあわ、どれだけ放置してたんでしょう。 お正月おめでとう秋原メンバーとかも、出来れば正月シーズン中に出したいです~。
by mmk2005
| 2009-01-06 12:25
| ◆ 小話-アビス
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